サブプライムでわかった銀行(メガバンク)の海外戦略のあり方

サブプライムでわかった銀行の在り方

サブプライムでわかった銀行(メガバンク)の海外戦略のあり方

邦銀が抱える大きな問題として、6月下旬に固まったG-SIFIs(システム上重要な巨大金融機関)に対する規制強化がある。メガバンクは指定されると見られるが、資本の上乗せを求められるなど、負担が大きいのではないか。

 

そんなことはない。サブプライム問題、リーマンショックの反省から、ハイリスクーハイリターンを追求してきた欧米型のビジネスモデルを規制するのが本来の目的。そもそも邦銀はそういうビジネスモデルではない。

 

だから大きな影響は受けない。逆に、欧米の銀行の稼ぎ頭だった自己勘定取引などが抑制されるため、ウォールストリート型のビジネスモデルは縮小し、邦銀型に似通ってくると見ている。

 

G-SIFIsに指定されることはメリット、デメリットどちらが大きいか。両面あると思う。ただ、指定されないと、限られた大手行による「クラブティール」のようなものに呼ばれなかったり、世界的な情報が入ってこなくなる可能性がある。となれば、グローバルベースで名誉ある地位を占めることはできない。だから、デメリットだけでなく、メリットも大きい。

 

とはいえ、国内市場が頭打ちのなか、メガバンクは揃ってアジアを重要地域として開拓しているが、苦戦している。

 

アジアにおける邦銀の金融取引は毎年、10%程度は増えている。たとえば経済成長が5%だとすると、金融取引は倍の10%は増えるイメージであり、成長著しいアジアが重要であることは間違いない。

 

しかしひと口にアジアといっても、シンガポールや香港のような自由市場から、規制の厳格なベトナムや中国など、国によって規制が大きく異なるという難しさはある。

 

おそらく苦戦というのは、非日系企業との取引が拡大していないという指摘かと思うが、欧米の銀行が先行して市場を押さえており、後れを取っているのは確か。また、2割程度出資して現地の金融機関とアライアンスを組もうにも、株価が高く割高のため、これも進んでいない。

 

だから、どのメガバンクも資本をそれほど食わない数パーセントの出資で、リターンが見込まれる案件については、タイミングさえ合えば加速していくだろう。本格的に海外展開するにはリテール業務に乗り出す必要があるのではないか。

 

それは難しい。自前で今から店舗展開するのは、経営資源がいくらあっても足りず不可能だ。そこで、店舗が少なくても展開可能な富裕層取引を実験的に始めているところもある。当行でも今、香港で取り組んでおり、軌道に乗れば、中国の華南地方での展開を考えている。

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